日本で使用されている屋根材の中では、あまり目にすることが無いアスファルトシングル。

そのため、正しいメンテナンス方法などを知る機会も少ないため、今回は建材自体の特徴などをまとめてみました。

A：アスファルトシングルとは？
B：劣化症状
C：メンテナンス方法
D：最後に

A：アスファルトシングルとは？

アスファルトシングルとは、ガラス繊維マットにアスファルトを染み込ませ、表面を砂粒でコーティングした屋根材です。

簡単に言うと「防水シートが仕上げ材になった屋根材」といったもので屋根材自体が防水材の役割を兼ねているため、建材自体の防水性が高いといった特徴を持っています。

また、柔軟性もあるため、複雑な形状の屋根に設置することができ、施工方法もハサミでカットし専用の接着剤で貼り付ける（一部釘も使用）といった、加工・設置がしやすいと言ったメリットがあります。そのため、欧米などの自分で修繕を行うことが一般的な国で特に普及しています。

アスファルトシングル アルマ｜商品情報｜ニチハ株式会社 (nichiha.co.jp)

逆にデメリットとしては、軽く・接着剤での取り付けが基本となるため、劣化が進行した際に瓦やスレートに比べて、建材自体の剥がれが起きやすいと言ったことが挙げられます。

また、表面を覆っている石粒が経年劣化で剥がれていくことで、雨樋の詰まりを引き起こす場合もあります。

B：アスファルトシングルの劣化症状

アスファルトシングルには大きく分けて下記のような劣化症状があります。

【表面の剥離】
表面を覆う石粒は経年劣化により剥がれてきます。そうすると基材が露出し更に劣化を促進させることとなります。

【剥がれ・浮き】
接着剤の寿命や強風等にさらされ続けることで、剥がれてくることがあります。

屋根材として雨水の流入を防ぐ効果が低下・無くなる前に適切なメンテナンスを行うことが重要です。

C：メンテナンス方法は？

設置後は定期的なメンテナンスを行うことで、元来の耐久性を保たせることと、建材の寿命が近づいた際に適切な修繕を行う必要があります。

その①「定期的な清掃」

アスファルトシングルは、枝葉や苔・カビなどが付着しやすいため、定期的な清掃を行うことが必要な場合があります。その際は傷つけないように注意しながら、柔らかいブラシや洗浄剤を使用し、汚れを落とす必要があります。

その②「塗装によるメンテナンス」

アスファルトシングルへ塗装すること自体は可能ですが、必ずしも推奨される方法ではありません。塗装によるメンテナンス退色（色あせ）・苔やカビの付着といった軽度の劣化時に行うことが多く、美観性の面においては有効ですが、防水性の低下についてはこの後に記載する工法をおすすめします。

その理由の一つとしてはアスファルトシングルを塗装した場合、建材が本来持っている柔軟性が損なわれる可能性があり、表面の割れ、塗膜の剥がれが発生する可能性があるためです。また表面ある石粒ごと剥離するということも含めて、塗料がうまく密着しない場合もあるため、逆に耐久性が低下することもあります。

■塗装を行う場合の注意点・内容

アスファルトシングルを塗装する際にはいくつかの注意すべきポイントがあります。

１.【表面の洗浄】

塗装の下準備として、高圧洗浄機を用いて表面の洗浄を行います。特に表面の石粒が剥がれやすい状態のまま塗装してしまうと、下地ごと剥がれてしまう要因となります。

２.【塗料の選定】
アスファルトシングルを塗装する場合に注意すべき塗料選定として、「水性」の物を選ぶということが挙げられます。

スレート瓦の塗装などと同様に、「溶剤」系の塗料を使用してしまうとアスファルトが溶け出してきてしまいます。

結論から言うと、アスファルトシングルのメンテナンスにおいて「塗装はやや不向き」なものとなります。この様な知識を持った業者選びを行わないと、安易に塗装メンテナンスを行い逆の結果になってしまう可能性を秘めているということを知っておくと良いでしょう。

それでは、耐久性・防水の観点からいった場合のメンテナンス方法は下記の内容となります。

その③「カバー工法によるメンテナンス」

「カバー工法」は既存の屋根材を剥がさずに、その上から新しい屋根を被せる工法です。旧材を撤去する必要が無いため、葺き替えるより費用を抑えることができます。カバー工法の際には「ガルバリウム鋼板」の金属屋根材を使用することが多くありますが、その際の注意点としては「見た目の変化」や個人差やお家の形状によって異なりますが、「雨音」がアスファルトシングルの時よりも気になる場合もあります。

【ガルバリウム鋼板とは】
https://k-toso.net/blog1/15003/
【ガルバリウムのメリット・デメリット】
https://k-toso.net/blog1/15006/

その④「葺き替えによるメンテナンス」

劣化が重症化していて、野地板などへのダメージが見られる場合は、下地からの修繕が必要となるため、葺き替えを行うこととなります。基本的には葺き替えを行わなければならないほどの劣化状況になる前にメンテナンスを行うことが重要です。

D：最後に

どの様な建材でも永遠に劣化しないということはありません。また、耐久性・見た目・費用などの様々な観点からどの建材を選ぶか検討していきますが、重要なのは劣化状況や建材の特性に合わせたメンテナンス方法をきちんと選択することです。

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